誰も気付かないものとは寂しいな。














愛の誤解














「・・・・・・。」


「・・・・・・。」





誰も気付かない。というか気付いていない(同じことです





「手塚ぁー!」





向こうの方から走ってくるのは・・・、菊丸か。

菊丸は目が良いからな。気付いただろう。





「明日の試合なんだけどさ・・・。」


・・・・・・。


「て、手塚?ちゃんと聞いてんの?」





この無礼者っ!

こんなに近くにいるのに気付かないのかっ。





「菊丸・・・。」


「にゃ?」


グランド30周っ!!!


「にゃっ・・・。て、手塚ぁ?(俺悪いことしたかにゃ?)」





3年もだぞ。

3年も付き合っていながら気付かないとは何事だっ。






「やぁ、手塚。」


「不二・・・。」





あまり会いたくない。

いつ会って良いことがあっただろうか(酷ッ

不二は気付くのか?

見えているか?気付いているか?

あぁ、目が開いてないから見えないんだな。





「今、何か僕のことバカにした?」


「いっいや・・・。そんなことないぞ。」





黒魔術か・・・。

それはそうと気付いていないんだな。













* * *













「手塚〜!まだ?」


「まだだ。子供じみたことを言うな。」


「だって子供だもん。」





コイツは気付いてはいないな。

というか気付くはずがない。

レギュラー全員が分からなかったのだからな。





「着いたぞ。」


「ヘーイ。」





今は明日の練習試合の打ち合わせのために氷帝に来ている。

というバカなマネージャーと。





「待ってたゼ。。」


「跡部くん・・・。」





早速俺の存在は無視か。





「よう手塚。やっと戦えるな。」


「ああ、そうだな。」





この練習試合は氷帝からの申し出だ。

たぶんこの男の策略(?)だろう。

うちにとっても気合を入れるのにはうってつけなのだがな。





「じゃ、榊先生のとこ言ってくるね。」


「1人で大丈夫か?」


「何それ。もう子供じゃありませんよーだ。」





ついさっきまで自分で子供だと言っていたのは誰だ。

まったく・・・。

アイツにはハラハラさせられるからな。





「ねぇのか?」


「む?」


「だからオレ様への貢物はねぇのか?」


・・・・・・。





それにしても何を言っているんだこの男は。





「10月4日はオレ様のバースデーだろ。」


知らん。





なっ・・・。

手塚め。仲良くしてやってんのにそれかよ。

ウゼェ。



いや、仲良くしたつもりはない(え





「お前と3日違いだよな。」


「そうか。」





って終わりかよっ。





「チッ。まぁいい。明日持って来いよ。」


嫌だ。





もういいだろお前は。

どうせいろいろ貰ってるのだからな。





「ハァッと・・・。あれ?お邪魔だったかしら。」


「いや。それよりちゃんとお願いしたか?」


「うん。バッチリ☆」


「フッ。じゃあな。楽しみにしてるゼ。」


「ああ。」





跡部も気付かなかったな・・・。

インサイトだとか言ってたな・・・。

節穴か。あの目は。





「そういえば手塚。」

「何だ。」

「眼鏡変えたね。」





・・・・・・。





「気付いたか?」


「うん。そりゃマネ業やってますから。」





あぁ・・・。1人いた。

しかしが気付くとはな・・・。





「似合ってるよ。」


「そうか?」


「うん。」





分かるよそりゃ。

日ごろから観察してるもん。

いや、ストーカーとかじゃなくて。





似合ってるよその笑顔。





END