「あの・・・・これ、受け取ってください!!!」
伝える想いと愛のカタチ
「ねえねえ、〜!!!」
「ちょ、ちょっとそれは・・・。」
「いいじゃん!同じクラスなんでしょ?」
「喋ったことほとんどないんだって!!!」
と、言いつつも強引な友達に頼まれたら断れない。
バレンタイン1日前。
女の子は明日に向けてみんなどこかそわそわしている。
私もそわそわ出来たらよかったんだけど・・・・・・。
まあ、そわそわする相手いないからしようもなかったんだけどね。
違うクラスの友達は最近白石くんが気になっている様子。
何かと思って話を聞いてみればバレンタインに代りに渡して欲しいらしい。
「・・・・・自分で渡せばいいじゃん。」
「ダメっ!恥ずかしい!!!」
「なんでよ・・・。私だって嫌だよ・・・・。」
「仲、いいんでしょ?」
「だから、話したことないんだって!!!
っていうかただ渡すだけでしょ?」
「だって・・・呼び出して来てくれなかったらショックじゃない。
その分、はクラスメイトってことで絶対断らないから!!!」
「いや、それは・・・。」
「ああ!テニス部始まっちゃう!
、よろしくねー!!!」
もう、本当強引なんだから・・・・。
白石くんとは喋ったことあったかな?ぐらいの仲。
同じクラスだからといってみんな仲良しってことあるわけないじゃん。
おまけに白石くんって結構人気なんだよね?
テニス部の部長らしいし・・・。
バレンタインの日は彼だってきっと忙しいはず。
あっちは喋ったことないって思ってるかもしれないクラスメイトの誘いを聞いてくれるだろうか?
・・・私より友達の方が可愛いんだから自分で渡せばいいのに。
これで断られたら地味に私がショックなんですけど(可愛くないのは知ってるけど!)
教室の窓からテニス部を見れば・・・いたいた。
夕焼けに照らされたテニスコート。
・・・確かにカッコいいと思うけどそこまでじゃないかな?
ああもう、どうしよう・・・。
直接の方がいいのかな?
そうだよね、直接じゃなかったら私に頼む意味ないし・・・。
明日が憂鬱で仕方なくなってしまったじゃないか!!!
「ご、ごめんね?こんな所に呼び出しちゃって・・・。」
「ええよ。鍵閉めたし誰か来る心配せんでええやん。」
「あ、あはは・・・・。」
か、鍵閉めちゃったんですか・・・。
いや、誰かにこんな恥ずかしい場面見られるよりはましかな?
でもなんか本当の告白みたいで恥ずかしい・・・。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
ああ・・・なんかやっぱり恥ずかしいよ。
ううん、友達のを渡すだけなんだから!
『、よろしくね!!!』
綺麗にラッピングされたプレゼント。
きっと頑張って作ったんだろうな・・・。
よしっ!友達のためだもん!
「あ、あの・・・・。」
「ん?」
「・・・・こ、これっ!」
白石くんがどんな顔してたかは分からない。
いきなり呼び出されて迷惑・・・だと思ってるかもしれない。
いいよ、別に私が嫌われたって。
お願い!何も言わずに受け取って!!!
「ほ、ほんまに俺でええん?」
「え・・・・?」
「あ、いや・・・。めちゃ嬉しい。
ありがとさん。」
お、おお?
う、受け取ってくれた?
自分の手を恐る恐る開けてみれば空っぽで。
白石くんの手には私がさっきまで持っていたプレゼントの箱が。
お、おっけいですか?
「あ、ああああありがとうございます!!!!!」
「、」
なんだか友達のことなのに私が嬉しくなっちゃって。
ただプレゼント渡せただけなのにね。
そう、何かを達成したみたいな!!!(気持いい!)
と、爽やかな風に吹かれていたら・・・ららら?
「白石くん?!」
「よしよし。ほんまは可愛ええな。」
なぜか白石くんに抱きしめられてる?!
しかもいつの間にか名前よび・・・(前まで「」だったのに・・・)
きっとただ渡しただけなのに喜んでる私にバカだな〜って思ったんだ。
それで犬みたいによしよしって・・・?
まるでペットみたい・・・・だけど、まあいっか!!!
「じゃ、じゃあそういうことで・・・・。」
「ん。おおきに。大事に食べさせてもらうわ。」
「うん。味わって食べてね。」
「当たり前やろ。
あ、毒とか入ってたりせぇへんよな〜?」
「ままままさか!!!」
「ははは、冗談やって。ほんま可愛ええ。」
よしよし、とまた頭を撫でられる。
ん〜、なんだかこれはこれで恥ずかしい。
白石くんもあんな冗談言うんだ・・・。
なんか部長ってこともあって怖いのかと思ってた。
気さくで、面白い。
だから人気なのかな?
間近で見たらやっぱりカッコいいしね。
とりあえずちゃんとプレゼント渡せたよ!
早速メールメール!!!
喜んでくれるといいなー!!!
「っちゅーわけや。」
「先輩、同じこと何回も話さんといてくれます?」
「ええやん。少しは付き合うて。」
「彼女に話せばええですやん。喜びますよ。」
「まあまあ。財前くんもたくさん貰って嬉しいんやろ?話してええで。」
「俺はなんもないです。」
前から気になってた子。
その子にバレンタイン、屋上に来て欲しいと言われた。
嬉しくないわけないやろ(めっちゃ幸せや)
やっと今年同じクラスになれた。
だけど神様っちゅーんはいじわるが大好きなんやな。
席はどれだけ待っても近くならない。
話すきっかけもない。
ほんま、同じクラスにいてこうも接触する機会がないんも悲しいもんがある。
目の前にいて何も出来ない自分にどれだけいらだったことか。
2月14日。
黙ってても女は集まってくる。
まあ、それはそれで嬉しい。
だけど、1番欲しい相手からいまだ貰ったことはない。
。
なんで好きになったんやろなー・・・。
せやけど今も変わらず好きなのは事実。
今年もまさかの大逆転・・・を期待できるほど脈がない。
ほんま、嫌いや。バレンタインデー。
これでが他の男にチョコあげてるの見たら本気で泣けてくる。
こんな憂鬱な日あらへんやろ。財前。
「知らんです。俺には関係ないんで。」
「相変わらず冷たいわ〜。」
「でも良かったですやん。チョコ貰えて。」
そうです。
そうなんです。
今年はまさか・・・と思っていた放課後。
部室でゆっくりチョコでも食べますか・・・と思っていたら。
「あ、あの・・・白石くん、だよね?」
「あ、ああ・・・。」
「あのっ、もしヒマだったら・・・・お、屋上行きませんか・・・?」
言われたときはびっくりした。
フツウそんな誘い方せぇへんやろ。
まあそんなとこもらしいな。
これはきっとまさかの大逆転・・・・・?
ガラにもなく緊張して屋上への階段を上る。
もちろん、鍵はバッチリ閉めておく。
滅多にないシチュエーション邪魔されてたまるか(こういうとこで金ちゃんとか千歳がいつも入ってくるんや)
真っ赤な顔でうつむいていて。
手に持った綺麗にラッピングされた箱をじっと眺めて何か考えている。
そない考えなくても断るわけないやろ。
ずっとずっと思ってきた子。
「・・・・こ、これっ!」
意を決してその箱を俺に差し出す。
「ほ、ほんまに俺でええん?」
「え・・・・?」
「あ、いや・・・。めちゃ嬉しい。
ありがとさん。」
何言うてるんや、白石蔵ノ介。
俺にくれるから渡してるんやろ。
あわててお礼の言葉を言う。
これでリアルに「間違えました」なんて言われたらめっちゃヘコむからな。
「あ、ああああありがとうございます!!!!!」
真っ赤な顔をあげて本当に嬉しそうに言う。
思わずドキッとしてしまう。
だから、
「白石くん?!」
「よしよし。ほんまは可愛ええな。」
思わず抱きしめてしまいたくなる。
想像していた通りは小さくて柔らかい。
ほんま、壊れてしまいそうやん。大丈夫かいな。
抱きしめたらええ匂いしてくるし・・・・。
「白石くん」言われるだけで胸が跳ねる。
もしかしたら1度も呼ばれたことあらへんかったんとちゃうか・・・?
心配していたほど抱きしめられて嫌じゃないらしい。
そりゃ最初はビクッってなっとたけど・・・(それも可愛い)
「じゃ、じゃあそういうことで・・・・。」
「ん。おおきに。大事に食べさせてもらうわ。」
「うん。味わって食べてね。」
ほんま、も味わって食べたいわ・・・(ベタやな)
せやけどいきなりそんなこと言うたらひいてまうやん。
「嫌われたくなかったんや・・・。」
「言えばよかったですやん。そしたら面白かったのに。」
「・・・・財前、俺のこと嫌いなんか。」
「冗談ですって。」
ほんま、今幸せなんです。
もう少し、幸せにひたっててもええですよね?
「・・・・勝手にしてください。」
END