好きな奴の心は知りたい。

誰だってそうやろ?










Herz"心"










「何か最近元気ねぇなー、侑士。」


「そうか?そないなことあらへんけど・・・。」





いつものように朝練しとったら岳人がわけの分からんことを言ってきよった(酷いぞ!





「そう見えるんか?」


「んー。なんとなくだけど。パートナーだからか?」


「何やねんそれ。」





確かに最近はなんかやる気が出えへん。

ホンマになんでやろ。





「何か悩み事とかあんのか?相談に乗るゼ?」


「いや・・・。無いと思うねんけどな・・・。」





どうしたんやろ。

何も考えられへんわ・・・。





「なぁ、跡部。どうしてやろ。」


「オレ様がそんなこと知るかよ。もうすぐ授業始まるぞ。」





つれないやっちゃなぁ(え

人に気にしてること言われると余計悩むわぁ。

どうしてなんやろ。

階段を1段1段重い足を上に上げていった。

教室のドアを開けるといつもの風景・・・やない?






さん・・・?」


「あぁ、忍足くん。おはよう。」


「あ、あぁ。おはようさん。
 何や元気無いようやけど・・・。」


「ん?そうかな?いつも通りだと思うんだけど。」





オレの後ろの席の子。

オレの好きな子や。

席が後ろで始めはなんやえらい緊張しとったな・・・俺。

髪型乱れてないやろかとか。

話しかけたいんやけどなかなかそれができんくて・・・。

ってそれはどうでもええんや。

その好きな子が落ちこんどる。

顔では笑っとるんやけど・・・。





「何でこんなことで悩んどんねん。」





授業にも大して集中できなかった。












* * *










「あー、リストバンド忘れたわ。」


「オイ、侑士。本当気がぬけてるゼ。」


「岳人に言われたないわ。」


「跡部〜!!!侑士が冷たい!!!」


「言うとれ。跡部にちょお抜けるって・・・、おらへんやん岳人。」





あれからいろいろ考えたんやけど。

なかなか答えはでぇへんかった。

なんとなくいうんはあるんやけど・・・。













さん!?」





リストバンドをとりに教室に戻った。

そこにいたんは悩みの種(だと思うんやけど)の

ホンマに悩みの種かどうかは分からへんけど・・・・・・。





「どうしたんや?自分、帰宅部やろ?」


「う〜ん。ちょっとね。」


「何や?ちょっとって。」


「いや・・・。そこまでは・・・。」





何で教えてくれへんの?

オレは嫌やの?






「なんか最近元気あらへんなぁ?自分。」


「んー。そう?」


「隠さんでもええで。ちゃんと見とるよ。」


「でも忍足くんには関係ないよね。」


「・・・・・・。」




あっさり言われた。

そんなん言われると傷つくんやけど。

あー、なんやフラれた時みたいにショックやわ・・・。





「力になれるかもしれへんやろ?」


「無理。1人で解決するから。」


「オレには教えてくれへんの?」


「だって関係ないもん。」


「関係ないことあらへんでっ!!!」






つい本気になってしもたわ・・・。

でもええ加減我慢の限界やわ。

が苦しむんは見たくないんや。

ただそれだけなんやで?

何で話してくれへんの?





「おい、忍足!部活サボッて何やってんだ?アーン?」


「け、景吾・・・。」


「跡部・・・。」


「あ?か?」





つかつかと近づいてくる跡部にオレは何故か焦っていた。

何でやろ。ホンマに。





「アーン?何やってんだ?」


「何触っとんねや!!!」





の髪に触れようとした跡部の手をはらった。

跡部・・・だいぶびっくりしとるな。





「不器用なやつだな、お前も。さっさと戻れよ。」


「言われなくてもはよ行くわ。先いっとれ。」


「景吾・・・。」


「フン・・・。、またな。」





美形で頭も良く、そして生徒会長、テニス部部長という看板を背負っている。

その姿がオレには憎たらしく思えてしゃぁない。

何でと跡部が知り合いなんや?

しかも名前呼びやで?

・・・・・もしかして。





「付き合うてるんか?」


「へ?誰と?」


「跡部とや。」





アイツと付き合ってるんなら諦めるしかあらへん・・・。

アイツには何でも敵わないさかい・・・(成績もテニスも、な





「そ、そんなことないよ!!!ただの幼馴染だから・・・。」


「そうなんか?まぁ、ええけど。」






さっきっから忍足くんがおかしい。

「関係ない」って言っただけなのに急に彼の目の色が変わった気がした。






「さっきの話しやけど。」


「あー、うん・・・。」


「全部話してほしいんやけど。」


「ヤダ。」


「何で?」


「人に全てを知られたくない。
 ましてや席が前だけという接点しかない人となんて絶対・・・。」


「なら接点作れば話してくれるん?」


「そ、そういうわけじゃ・・・。」






目の前の机をどけて顔を近づけてくる。

なお彼の目は真剣そのもの。

全てを見通されているような目。





「跡部にはええんか?」


「何で景吾?」


「アイツとは接点あるんやろ?
 アイツには全部話すんか?
 オレには話さへんで?
 何でや!!!何で跡部にだけ!!!」


「違う!!!景吾にも話さない!!!」


「・・・・・・オレには?」


「それもムリ。」


「・・・・・・。」





のことはオレだけ知っとればええねん。





「私しか私の全てを知らない。
 他人にどうこう言われたくない。」


「・・・・・・拒絶するん?」


「だって!!!」


「そないなこと言ってたら最後に苦しむんは自分やで?
 何であかんの?人に心をみせるんはダメなんか?
 全ては知れないかもしれへん。けどな、苦しみを分かち合うことはできると思わへんか?」





きつく抱きしめてくれる彼。

自然と涙がこみ上げてくる。

どうしてこんなにももろくはかないのだろう・・・。






の全てを知りたい。

オレだけのものにしたい。






「ゴメン・・・・。」


「何で自分が謝るんや・・・。
 オレにだけ・・・。オレにだけ教えてくれへんか?
 接点なら作ったるよ?」


「へ?」




触れるだけのキス。

しだいに深く、甘くなっていく。




「ずっと自分を見てたんや。
 ・・・・・・・好きや。」


「・・・・・・。」


「やっと分かったわ。
 の元気が無いとオレも元気あらへんねん。
 の全てがオレなんや。やから独占したい。

 ・・・・・・あー、俺、何言ってるか分からんわ。」


「うううん。分かるよ。」





さっきは触れるだけのキスだったのが今度は深いキスになる。






「ホンマに好きなんや・・・・・・。」


「私も・・・好き・・・。」


「ホンマかっ!!!」


「うん。・・・悩み聞いてくれる?」


「ああ。」











心の中は誰も見れない。

見れるのは自分だけ。

でも少しなら見えるよ。

心が通じ合えばきっと・・・。






大好きなアナタには見せてあげる。










END





きっと何でも跡部と比べたがるんですよ。