自分には誰が必要やねん。

















Imbalance

















「うぇーん。侑士〜。」


「どないしたねん。」





いきなりが抱きついてきた。

とは幼馴染で家も近い。

そやから昔から何かと仲が良かった。


そやけど、は中学になって変わってもうた。

オレの知らないにいつのまにかなっとった。



成長・・・したからやろか?





「うぇーん。 うっ・・・。 ひっく・・・。」


「もう泣くなや。」





なんやオレが泣かせやみたいやん。

さっきの続きやけどが抱きついてくるんはむっちゃ嬉しい。

そやけど・・・。





「侑士ー。」


「せやから泣いとったって分からんやん。」





気付いてへん。

気付かないと意味がないやん。

はよ言い。





「うー。もう・・・。人生やめようかなー・・・。」


「何バカなこと言っとんねん。」





本心やないくせに。





「はよ言わんといい加減怒るで?」


「お、怒んないでよー。」





ならはよ言いや。

お前が気付かへんからこんな気持ちなんやで?





「実はね・・・。めちゃくちゃカッコイイ子がいたの。
 もう、一目ぼれしちゃってね?」


「・・・・・・。」





何やまたその話かいな。

もうその話は聞き飽きたわ。





「今度は本気でこの人だって思ったのよ。
 スタイルいいし、髪形もいいし・・・。
 なんか優しそうなところが激ツボでさぁ。」


「その男、どこで見たん?」


「ゆ、遊園地だけど・・・。」





フーン。

遊園地なんか行くんや。

オレには言わずに?





「それでねぇー。ずっと見てたのよ。見惚れてたね。
 そしたらあっちも気付いたらしくて・・・。」





「「ニコッ」って笑ってくれたの。」





「もう、あの笑顔大好きv」





ならなんで泣いとんねん。

なんも悲しい事ないで?





「それでどないしたん?」


「うん。その人が話しかけてきてくれたの。
 私のこと「可愛いねっ」って言ってくれたんだよっ。」


「それはよかったな。」


「でねぇ。・・・・・・。」


「なんなん?」





急に黙るなんて・・・。

そこまで聞いたら最後まで聞いたいやん。

はよ言い。





「それで、携帯の番号とか教えて・・・。
 次の日デートしたの。」





デート・・・。

それはいくらなんでも軽すぎやろ。

互いのことなんも知らんのに。

ちょっと今傷ついたわ。





「そんで?」


「・・・侑士、不機嫌?」


「なんでや?」





オレのどこが不機嫌やねん(めちゃくちゃ不機嫌





「いや・・・。声のトーンが落ちたから。」


「オレだって声のトーンぐらい下げるわ。」


「理由になってない・・・・・・。」





誰のせいやと思ってんねん。





「ま、いいや。それでね、聞いてよ侑士!
 そのデートの最後にキスまでしたんだよっ!

   でもその人ね・・・。女だったの・・・。」





「さよか・・・ってハァ?」





女ってレズかいな。





「騙されたの!もう逃げてきたよぅ(泣」


「・・・・・・。」





でもな、

お前もいけないことしとるんやで?





。何で見知らぬ奴とデートするん?」


「そ・・・それは・・・。カッコよかったから?」


「アホか。」





もうちょっと警戒心もてや。

今時は何されるか分からんのやで?





「それでや、あとは何でキスしたん?」



「別に女だったから良いじゃない。」


「せやかては男やと思っとったんやろ?」


「そ・・・それは・・・。」





よく男とキスするわ。

もうオレの心はずたずたなんやで?





「か、関係ないじゃないっ!侑士にはっ・・・。」





「んっ・・・んっ・・・。はっ、やん・・・侑・・士・・・。」


「何が不満なん?」





言うてみぃや。





「カッコよくてスタイルよくて、優しいのが自分の好みなんやろ?
 何でオレやあかんの?」






「気付かなかったなんて言わせへんで?」


「ちょっんっ・・・はっ・・・。」





荒く乱れる呼吸。

全部が悪いんやで?





「他の奴なんて見んなや。」





「オレだけ見とればええねん。」


「んはっ・・・。侑士・・・。」


「今日はそのことしっかり分からせたるからな。」





オレの身体叩き込んでやるからな?





END