思いついたんはつい昨日よ
何となく試したくなったんじゃ
Hot Illusion
一緒に暮らそうと何度も言うたびに流される。
やっとこの間お泊りに許しが出たばかり。
でも幸せなんじゃよ。
あの、と。今一緒にいる。
帰ってきたら出迎えてくれて、夕飯作ってくれて。
風呂は・・・・・・今更恥ずかしがることなんてないじゃろ。
じゃけど、顔真っ赤にして必死に嫌と抵抗してくる。
そんな力で俺に勝てると思っとるんか?
仮にも『詐欺師』
一緒に入ろうと思えばどうにだって出来る。
じゃけど、それは惚れたもんの弱みよ。
に頼まれれば引き下がるしかない。
寝るときは勿論一緒。
風呂は我慢してやってるんじゃ。寝るのぐらいはわがまま言わせて。
そう言うと小さく頷いてくれた。
もう、やめろ。その仕草。
こっちは耐えるのに必死なんやぞ。
寝ているすきに何度襲おうと思ったことやら。
理性が吹っ飛ぶのを必死で抑え、せめてもと、抱きかかえながら眠る。
これも全部に嫌われとぅないから。
ほんま、詐欺師が聞いてあきれる。
じゃから、仕返し・・・・の意味もあるんよ。
、俺も愛されてるって分かりたいんじゃ。
「雅治、どうしたの?」
「んー、何がじゃ?」
「何かおかしい。」
多分それはいつもよりきつく抱きしめているから。
今日はが泊まりに来ない。
じゃから、今のうちに補充しとかんとな。
それと、もう1つ。
「ほら、早くしないと遅れちゃうよ?」
「んー、やっぱ今日も泊まっていったらええよ。」
「だめだよ。さすがに怒られるから。」
の両親は厳しいらしい。
本当は外泊もいい顔をしなかったんじゃろ。
じゃから、ほんに嬉しかった。
「今日は雅治の家に泊まる。」
ずっと泊まとったらええんに。
「ほんじゃ、行ってくるかの。」
「うん、いってらっしゃい。」
ひらひらと手をふるに行ってきますのキス。
やりだすと止まらない。
何回も唇に触れ、舌を入れるのをじれったく我慢する。
入れたら最後までいってしまいそうじゃ。
「・・・・・・・・・・で、結局こうなるんだけどね。」
「ええやんき。新婚さんみたいじゃろ?」
ドアを閉め、いざ行こう・・・・とはしない。
ドアの前でを待つ。
だって立海の生徒。
朝は勿論登校しなくちゃならんからの。
・・・・・じゃから、今のはほんの演出。
「さーて、行くかの。」
「もう・・・・・・。」
ドアから出てきたをもう1度抱きしめ、学校へ行く。
柄にもなく「いってらっしゃい」のやり取りが俺は好きだ。
数年先まで待っとられん。
もし、別れたら・・・・・別れんけど。
俺もそんなに頭は悪くないけぇ、現実を見ちょる。
いつかそうなる時がくるかもしれん。
じゃから、にお願いして朝は恒例にしている。
俺がの夫。
まんざらでもないの顔を見れば自然と口元が歪む。
いつかそういう日が来るんじゃろうか。
「・・・・・・好いとぅよ。」
聞こえない程度につぶやく。
これから起こることに期待と不安を抱きつつそれでも信じたいと、見破ってくれと、願いを込めて。
「ごめん、待った?」
「俺も今来たとこじゃ。」
「本当?良かった・・・・・って、ちょ、雅治?!」
「暴れなさんな。何もせんから。」
「だ、だって抱きついてるじゃん!じゅ、十分してるよ!」
「そうか?」
「・・・・・・やっぱり今日の雅治はおかしいよ。」
「・・・何がじゃ。」
「朝からおかしいとは思ってたけど・・・。熱、あるんじゃない?」
「な、ない・・・じゃろ?」
「んー、でもやっぱりおかしい。」
「は、俺を信じんの?」
「信じてるけど・・・・・・」
「やめじゃやめじゃ。」
「え!雅治・・・・・・?え、え、雅治が2人・・・・・。」
「柳生、さっさと離れんしゃい。」
「それが手伝ってあげた親友に対してする態度ですか。」
あきれたようにから腕を離す柳生。
そのポジションは俺だけじゃ。
いくら親友であっても許さん。
まぁ頼んだのは俺の方なんだがな。
こんなにもストップがきかないとは。
「柳生くん・・・・だったんだ・・・・・・・。」
「・・・。好いとぅ。」
「雅治・・・・・・。」
この抱き心地。
他のヤツも味わったのかと思うと腹立たしくなる。
これをやろうと言い出したのは俺の方で。
柳生はいい顔をしなかった(俺になるのがそんなにイヤか)
じゃけど無理矢理説得して・・・まぁ簡単なことよ。
部活終わりにを呼び出して偽者の俺を見破れるか試す。
柳生にはテニスコートで待っててもらって俺は木陰から観察じゃ。
「ごめん、待った?」
「俺も今来たとこじゃ。」
「本当?良かった・・・・・って、ちょ、雅治?!」
「暴れなさんな。何もせんから。」
「だ、だって抱きついてるじゃん!じゅ、十分してるよ!」
まぁ俺がやれと言ったことなんじゃがムカツク。
他のヤツがを抱きしめとるだけでこんなにも腹立たしいもんなんか。
これじゃぁ先が思いやられる。
可愛いくせに鈍感なはいつ俺の知らない所で襲われるか分からん。
「・・・・・・やっぱり今日の雅治はおかしいよ。」
おかしい。
それは、俺じゃないと気付いたってことか?
「朝からおかしいとは思ってたけど・・・。熱、あるんじゃない?」
そう言うと柳生のおでこに手を当てて確認してくる。
・・・・・・・は?何でじゃ?
下から見上げる視線。心配そうに覗き込む顔。
体が熱くなる。されているのは俺じゃないのに。
全部本当は俺に向けられているものと思うとニヤケが止まらない。
じゃが、実際にやられているのは柳生の方で。
一歩ずつ足が前に進む。
バレない程度に近づく。
それは俺じゃない。本物はこっちじゃ。
喉まで上がってきた言葉を必死で押し殺す。
ここは我慢じゃ、雅治。
今飛び出して行ってみんしゃい。
今日の計画が台無しじゃ。
それよか、柳生にまた何て言われるか。
「は、俺を信じんの?」
「信じてるけど・・・・・・」
さすが親友。
俺の視線に気付いたのかの手を払う。
じゃが、安心したのもほんの一瞬。
次のの行動に足だけでなく口までも動いてしまった。
更に顔を近づけて柳生を覗き込む。
その距離ならキスも簡単にできてしまうじゃろ。
「やめじゃやめじゃ。」
俺ってこんなに嫉妬深い男じゃったっけか?
、こんな男は嫌じゃろか?
「羨ましかったんじゃ。」
「え・・・・・何が・・・・・。」
「じゃから、柳生がにされてたこと全部。」
「なっ・・・///」
「・・・ありがとな。」
正確に言うと見破ってないのかもしれない。
でもおかしいと気付いてくれたから。
もう、十分じゃ。
「でも・・・・・騙された・・・・・・・。」
「俺、詐欺師じゃし?」
「そういう問題じゃない!」
「わかったわかった。だからもう泣くな。」
目が真っ赤になって・・・。
うさぎさんみたいじゃな。
指で涙をふき取ってまぶたにキスを落とす。
視線を感じ振り向くと・・・・・・忘れとった。
「仁王くん、あなたって人は・・・・。」
「すまんかったな、柳生。今度何か奢るけぇ。」
「私は丸井くんではないのですよ、全く・・・・・。」
「ほんま感謝しとるって。」
「・・・・・・・・まぁいいでしょう。それでは、お先に失礼しますよ。さん、お気をつけて。」
「う、うん・・・・・ありがとう。」
・・・何を気をつけるんじゃ。
まぁ本当に感謝はしとるんよ。
に向き直るとまだ不満なのか難しい顔をしていた。
「なぁ。」
「ん?」
「柳生に惚れたか?」
「は?!な、何で!?」
「ちょっと心動いたじゃろ。」
うん、と言われるのが怖い。
でも聞かずにはいられない。
「そんなことないよ?」
「ほんとか?」
「もう・・・・信じてくれないの?」
「どっかで聞いたセリフじゃな。」
もう1度抱き寄せて密着させる。
離さんよ。何があっても。
騙したりもせん(たぶん)
「じゃぁ、着替えてくるけぇ。ちょっと待ってて。」
「うん。」
「雅治。」
「ん?」
「頑張って当てるようになるから。」
呼び止められて振り向くとうつむきながらもに宣言された。
もう当ててるんに。
もっと俺のこと知りたいんか?
「嫌でも分かるようになるけぇ。覚悟しんしゃい。」
どんな時もお見通しさ まるで詐欺師
今日もお泊り決定じゃな。
END