Hot Illusion
























「・・・・っていうお願いなんじゃけど。」


「・・・・・・。」


?」



お昼休み。

にちゃんと告白してから、お昼は一緒に食べるようになった。



木陰のなるべく涼しい場所。

昼ぐらい誰の視線も気にせずのんびり1人で過ごしたい。


でもなら別に気にしない。

むしろ一緒にいた方が落ち着くのはきっと本気だから。




ほんにずっと欲しかった存在。


もう手放したりせんよ。





「なしてそんなに嫌がる。」


「い、嫌がってないけど。」


「じゃあええじゃろ?」




せっかく付き合い始めたんじゃ。

どうせだったらテニス部のヤツらに見せびらかしたい・・・・と思うのは普通のことで。



最近は部活が終わるまで教室で待ってくれている

それはそれで嬉しい。


だからもう1段階あげて、テニスコートで待ってて欲しいと頼んでみた。




「何が気に食わんの?」


「は、恥ずかしいじゃん、そういうの。」


「俺の彼女っちゅーんが恥ずかしいんか。」


「そうじゃなくて!
 こう、まだそんなに慣れてなくてですね・・・」


「つまらん。」



意外にも俺が初めての男だったり・・・なんかして。

照れてるとこも可愛いのぅ・・・っとそうじゃない。


ゆっくり、のペースにあわせて・・・・と思っていた。

しかし、思っているより自分はわがままで。


どうにかに合わせようと思っても体は言うことをきかない。




「その、もうちょっと経ったら・・・。」


「ええち。気にしとらんよ。」


「(えええ!絶対気にしてる・・・!)」


しょうがない・・・・と思い、弁当をつつきつつの様子を伺う。

は優しい。


これでもずっとんこと見てきたんじゃ。



「(うぅ・・・)きょ、今日だけだよ?」


「・・・・ムリならええち。」


「・・・・・今日だけなら。」


「・・・・ホント?」


「ほ、本当。」


「嫌いになったりせん?」


「も、もちろん!!」



思わずニヤリと口元が動く。

まだまだ知らないことは多いけど


の扱い方に慣れてきたつもり。



それでも油断はしてはいけない。


俺、詐欺師じゃし?



「ほんじゃ、放課後、しゃんと見てて。」


「うん。」


「他の男に声かけられても喋ったらいかんぜよ。」


「そ、そんな子供じゃなんだから大丈夫だって!」


「いーや、は危なっかしい。どうするんじゃ、どこぞのペテン師に襲われたら。」


「・・・・もう襲われてるんで大丈夫です。」


「まだ食っとらん。」


「バカー!!!そういう意味じゃなくて!!!」



こんな会話にも慣れてきて。



この前までは絶対にありえなかったこと。

何故だか告白する前、は俺のことを避けていた気がする。


あの丸井でさえ楽しそうに会話していたのを何度か見た。

なのに俺と目が合えばそらし、近づこうとは決してしない。



こっちから話しかけようにも話題がなく、もんもんとするだけ。

踏み込んじゃいけない気さえした。



「そうだったっけ?」


「結構傷ついてたんよ。」


「ごごごごめんって!!!意識は・・・してなかった?」


「何で疑問系。」



こんなにも近づきたいのに。


近づいてはいけないオーラをは出していた。


それでも柳生という共通の友達を使ってなんとなく話をしたことはあった。

どうにかこうにかメアドも交換して・・・と、ここまでしか進まない。


時々交わす、事務的な会話。

話題がないから遅れないメール。

気付かれないように遠くから見たの家。



「そこまで・・・・。」


「だから、教えて。」








何で俺のことを避けていたのか。








「・・・・・怖かったから。」


「・・・・・・。」


「『ペテン師』っていうだけでちょっと仲良くなれないって思った。
 全てを見透かされてそうで怖くて・・・。」


「・・・・・・。」


「どれが本当で嘘なのか分からなくて、話してても騙されてるんじゃないかって不安で。」


「だから見れなかったし、話せなかった。近づきたくなかった。」


「・・・ほぅ。」



そうまで言われるとさすがに心が痛む。

自分で聞いておきながら、今さら聞かなきゃ良かったとちょっと後悔。



・・・そんな風に見えとるんか?俺。



「今は?」


「今は・・・・たぶん平気。」


「たぶん?」


「いやあ!平気だと思うよ!!!
 話してみたら楽しいし、その、ちょっとまだあれだけど・・・。」


「あれだけど?」


「こ、告白の時のこと思ったら大丈夫かなって。」










「ありがとさん。」



出てきたのは意外な言葉。

「たぶん」に引っかかりつつも、まあいいかと許してしまう。





ほらまたニヤケが止まらない。



のせいじゃ。」


「何が?!」



この時はまだ、何も思っていなかった。




「放課後、忘れるんじゃなかよ。」


「うん。」



今日の楽しみが出来た。


さーて、授業、頑張ろうかのぅ。
















































「赤也!またお前・・・・・」


「だって丸井先輩が・・・」


「は?俺はなんも言ってねぇだろぃ♪」


「ひでー!騙された!!!」



ああ、なんでもっと静かに話しができないんじゃ・・・。


やんややんやとまたも騒いでいるおかげで練習は一時ストップ。

こんな暑い中どこに言い争う元気があるのか真面目に不思議じゃ。



こんなんじゃやっとられん・・、と木陰を探す。

ふと目に入る、自分の彼女。




しゃんと来たな。




「暑くなか?」


「わっ!に、仁王・・・」


「なん。寝てたんか。」



俺が近づいてもなんも反応せん・・・と思っていたら。



「ずっと寝てたんか。」


「えええ!お、起きてたよ!」


「よだれ出てる。」


「ウソ?!」


「ウソ。」


仁王のバカー!と殴られても嫌な気はしない。

これがあそこでわめいている副部長やワカメだったら避けているだろう。


まあ今日は約束どおり見に来てくれたからいいか。

まあ練習なんぞ見て楽しいのかと俺も思う。



の隣に座り、しばし休憩。

しっかし暑いのぅ。



「仁王、サボッてていいの?」


「休憩。」


「でも皆あそこにいるし・・・。」


「好きであそこにいるんじゃろ。」


「怒られない?」


と一緒だから平気。」


「ええー・・・なんか私のせいにされそう。」



ははは、と言いながら笑う


なんとなく触れてみたくなった手。

いきなりでびっくりしたのか驚いた顔で俺を見る。


いろんな反応が可愛くて。

全部自分のために向けられている。



「眠い。」


「寝たらさすがに怒られるよ?」


「危なくなったら起こして。」


「いやいや、本格的に寝ようとしないで!!!」


の方に寄りかかって目を閉じる。

密着すると余計に暑いが、別にええ。


ふんわり漂ってくるの香り。


なんとなく触れてみたの手。


そういえば手つないだの初めてだったかもしれない。


キスだって看病しに行った時の1回だけ。

ちゃんと告白した時にしようとしたら断られた(あれも悲しかった)


あー、なんちゅうスローペース・・・。

今日の帰りでも進展させてみようか、と考えてみる。


いつもそんなことばかり。

でもそれをしたことによって嫌われるんじゃないかという思いもあったりして、なかなか実行できないのが本音。



・・・・こんな気弱な男じゃったかのぅ?














「に、仁王!!」


「・・・・ん。」


「危ない!今危ない時!!!」


重たい瞼を開ける。

すると・・・・おおおお、怖いのぅ・・・・・。



「仁王、こんな所でサボるなんていい度胸だね。」


「仁王先輩ズルいッス!!!」


「あーー!!!!何で仁王といんだよ!!!」



丸井の発言に思わず横目でを見る。


よしよし、そんな気にしてないようじゃな。

むしろレギュラーのお出ましに怯えている様子。




「ま、丸井・・・。」


「彼女さん?いくら彼女でも部活中なんだよね。」


「幸村、俺が悪いんじゃよ。」



暑さで相当イライラしているのか。


まあ別に驚くことじゃない。

いつもは勝手に女の方から俺にベタベタしてきよったからのぅ・・・。



俺がをかばったのが珍しかったのか、幸村でさえも少し固まる。

はというと・・・必死に俺のジャージを掴んで隠れようとしている。



「・・・フフ、そういうことか。
 まあどっちにしても仁王には罰を与えなくちゃね。」


「もう行く。」


「あの、皆さん、なんかごめんなさい・・・・。」


は謝ることなか。」


「そうだね、悪いのは全部仁王なんだから。」



・・・・その笑顔が怖いぜよ。幸村。


可愛いッスね、やらマジで付き合ってんのかよ、やら・・・。

そういえば丸井には言ってなかったかのぅ。



「・・・大丈夫か?」


「う、うん・・・。」


「しゃんと最後までおって。」


「・・・・・・。」


「返事は?」


「は、はい・・・・。」



おーおー、あっちはあっちで真田が叫んどるの・・・。

、相当びびっとるな。


逃げやしないか不安だが、部活をサボるわけにもいかず。



まあ、














「ねらい通り。」




見せびらかせたんじゃないか?























Hot Illusion
























ああ、忘れ物。


「な、ちゅーして。」


「なっ!!!ななな何をおっしゃっているんでしょうか?!」


「ほっぺでいいから。」


「むむむムリ!!!」


「・・・つまらん。」























END