「、おはようさん。」
「お、おはようございます・・・。」
そろそろオチて欲しいもんぜよ。
Hot Illusion
今日はたまたま朝練がなかった。
ちょっと早く家出て正解ぜよ。
を見つけて早速話しかける。
あの日より前と何も変わっていない。
俺がの家に行った日。
結構いろいろ仕掛けたつもりだった。
は今までの女とは違う。
分かっていてもどうしたらいいか分からない。
・・・結果がこれじゃ失敗っちゅうことかの?
最近じゃさらによそよそしくなってきている。
初めての部屋に入って、
苦しそうなを見て悪いとは思ったが・・・欲情した。
顔が少し赤くなっていて、吐息が漏れる。
うるんだ目で見られた時には本気でヤってしまうんじゃないかと思った。
でも一応は病人。
看病なんて何していいか分からんかった。
だからきっと焦ってたのかもしれない。
俺のことを見てふっ、と笑う。
なんじゃ・・・病人のくせに・・・。
そんな人を興奮させたらいかんぜよ。
と、くだらないことを授業中に考えつつ、焦っている自分を見せてしまったことに改めて後悔した。
・・・好きなヤツの前ではカッコよくいたい、じゃろ?
には悪いが、熱出てくれてほんに良かったぜよ。
あの後もいろいろあったしのぅ・・・・・。
思い出すたびに口元が緩む。
ああ・・・そうとう俺は本気らしい。
「というか何でそこにいるのですか。」
「んー、空いてたから。」
授業も終わって教科書を机にしまい、ふとの方を見てみる。
よしよし、丸井はいないな。
は何があったのか少し険しい顔をしていた。
明らかに俺に対して身構えている。
・・・なんぞしたかのぅ。
「あー・・・あつ。」
大体の女はコレでおちる。
胸の辺りが大きく開いたシャツをパタパタさせて風を送る。
・・・・今日はいつもより暑くなか?
ハハッ、俺だけなんかのぅ・・・・。
「そんな凝視されるとさすがに恥ずかしいけぇ。」
「ああああなたがいけないんでしょう!!!」
おとすつもりが俺がにおとされてどうする。
でもどうやら俺のせいで赤くなっているらしい。
・・・・・ちょっとは期待していいんかのぅ?
と、言いたいところだが、こういう会話はもう何度も繰り返されている。
いい加減おちてもいいころなんじゃが・・・・・。
どうも他の女とは違うらしい。
まあそりゃそうじゃの。
俺を本気にさせたんじゃけぇ。
「・・・お?やっぱ惚れてる。」
「っ!!!」
からかった時の反応が1番可愛い。
顔をさらに真っ赤にしてちょっと泣きそう。
・・・・あー、可愛えのぅ。
このまままたの家に行きたい。
・・・なんて幸せなことを考えていたらの様子がおかしい。
下を向いて本気で泣きそう・・・?
おいおい、シャレにならんぜよ。
「じょ、冗談じゃって。そんな拗ねなさんな。」
「・・・・・・。」
反応なし。
「せっかく俺が話かけてやっちょるのに無視するんか?」
「・・・話しかけてほしくないもん。」
・・・・・・はぁ?
本気で怒っとるんか。
・・・どうしたらいいんじゃ。
こんな顔のは見たことがない。
柳生とは楽しそうに話してるんに。
ちょっと遊びすぎたか?
さっきまで俺と向かい合ってくれていたはいよいよ背を向けてしまった。
・・・・嫌われた?
何しとるんじゃ仁王雅治。
早く機嫌直さないとせっかく掴んだチャンスが台無しになってしまうぞ。
それでもどうやって声をかけたらいいか分からない。
ちっさい背中じゃのぅ・・・・。
「・・・・・もうよか。」
どうしていいか分からない自分が嫌になった。
普段ならこんな女面倒くさいと捨ててしまうところ。
は違う。
むしろ手放したくない。
それでも何も出来ない自分に呆れて逃げるしかなかった。
もう1回、に声をかけられるように落ち着いてから。
・・・は何を考えていたんだろうか。
俺・・・・のことだといい。
それがたとえマイナスのことであっても。
「本当、おめでたい人ですね。」
「うるさい。柳生には一生分からん。」
昼休み、コイツならうまくあの場を乗り越えられる・・・と思われる柳生に相談してみる。
立海の「紳士」
まず女を泣かせることはないんじゃろか・・・。
ええのぅ。そういう性格のやつは。
「なあ、どうしたらいいと思う?」
「そうですね・・・嫌われてはいないと思いますが。」
「・・・・そうなんか?」
照れ隠し・・・なんかのぅ。
いやいや、結構シリアスな雰囲気が漂っていた気がする。
「そもそも仁王くんはさんとお付き合いされているのですか?」
「あー・・・たぶん。」
そういえばそうだった。
一応の家で告白ともとれることを言った。
俺はもう「恋人」同士じゃと思っとるんやけど・・・。
「さんはそうは思っていないかもしれませんよ?」
「好きち言うた。」
「なにぶん、鈍感なところがありますので。」
「・・・・・・。」
なんかムカツク。
の全てを知ったような言い方。
柳生が彼氏のようにさえ見えてくる。
相方だと分かっていながらも・・・・嫉妬。
「もう1度告白なされてはいかがですか?」
「・・・・・・このタイミングでかの?」
「このタイミングだからです。」
「・・・告白するの好きじゃない。」
いつもは女の方から告白してきた。
自分から好きになる前に言われてしまうからのぅ・・・・。
「まあ・・・ありがとさん。」
「いえ。こんなことしか言えなくて申し訳ないです。」
「なぁ・・・・・・。」
「・・・・ええ。私からも少し言っておきますよ。」
さすがもう1人の「仁王雅治」
何も言わなくても分かるところがええ。
さーて、どうしたもんかのぅ・・・・。
「・・・・・・?」
「あ・・・・・、」
ミーティングだけの部活が終わり、そういえば忘れ物・・・・と教室に来てみた。
机に座ってびっくりした顔でこっちを見てくる。
ちょっと眠そう。
寝てたんかのぅ・・・・。
俺を待ってた・・・とか?
「どこ行くんじゃ。」
「帰る。」
期待とは裏腹には俺の横を通り過ぎようとした。
まあ現実はそうそう甘いもんじゃない。
じゃけど、このチャンス。
逃すわけにもいかんしのぅ・・・・。
「離して。」
「離さん。」
「帰りたい。」
「帰さん。」
柳生との会話を思い出す。
もう1度告白・・・・。
どうやら未だに不機嫌らしい。
ここはちょっと真剣にきめちゃるぜよ。
「・・・・・・なんで、」
「あ?」
「・・・・なんで、私にかまうの・・・・。」
「・・・・・・。」
の席まで連れ戻す。
すると聴こえてくる思いもよらない言葉。
かまう?
「突然現れて、」
「家にまで押しかけて、」
「意味もなく優しくしてくれて。」
「うっ・・・・か、勝手に仁王の存在が大きくなってって・・・・。」
「う、うそっ・・・だっ・・・って分かって・・・・るのに・・・・・・。」
正直驚いた。
がまさかそんな風に思っていたとは。
うそなわけなかろう。
柳生の言ってたとおり鈍すぎじゃ。
意味もなく優しくするなんて俺がすると思うか?
ククッ・・・・ほんに面白い。
「・・・・・・もうよか。」
ニヤケがとまらん。
あー、なんでこんなことで悩んどったんじゃろ。
「・・・・にお?」
「泣きたいのは俺の方。」
がそれほど俺を思っていたということ。
素直に嬉しい。
じゃけど・・・・。
柳生の言ったとおり、あの日の「告白」は意味がなかった様子。
・・・・結構緊張したんじゃけど。
ほんにあの時の緊張を返してほしいぜよ。
「が好きじゃから。」
「が愛しいから。」
「じゃから、来た。好いとぅんとこ。」
が望むなら何度でも。
それで側にいてくれるなら。
未だに状況がつかめないらしく唖然としている。
こんだけ俺を振り回したんじゃ。
あの日から・・・いや、それよりずっと前から我慢しとったんじゃき。
もうそろそろ我慢の限界ぜよ。
「ちょ、ちょ、ちょちょちょっと待って!!!」
「待たん。もう限界。」
抱き寄せて唇を塞ぐ。
ずっと触れたかった唇。
が驚かないように今は触れるだけ。
ククッ・・・・これからたくさんしちゃるよ。
「・・・・・・か、からかってるんじゃなくて?」
「いい加減怒るぜよ。」
この期に及んでこの発言。
そんなに信用ないんかのぅ・・・。
そもそもにしてこの勘違いの始まりは・・・とたどってみれば自分の行いのせい。
どうにも冗談だと思われていたらしい今までの行動。
まぁ、過去があれじゃから何も言えんが・・・。
「すごい・・・・・・苦しかった。」
「ククッ・・・好いとる証拠じゃよ。」
も俺を苦しめた。
だから、おあいこ。
ようやく・・・の彼氏ポジション。
これからは遠慮なく行かせてもらう。
ああ・・・しゃんと告白しとかんとまた勘違いされてしまうかもしれないのぅ・・・・・。
ほれ、こっち向きんしゃい。
Hot Illusion
「好きじゃ。側におって。」
END