「仁王、勝負しよう!!!」
大好きなヤツから言われたら断るわけなかろう。
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「・・・・・・・・。」
「ねぇ、勝負しよ!!!」
「・・・・・・・・。」
「え、ちょ、仁王さーん?聞いてる?」
俺に勝負・・・・・。
このペテン師仁王に勝負を挑もうとするヤツなんてそうそういるもんじゃない。
なぁーにを考えとるんじゃ、コイツは。
「聞いちょるよ。」
「じゃぁ早速勝負しよ!」
「・・・お前さん、俺がなんて呼ばれてるか知っとる?」
「えと・・・遊び人とか・・・・付き合ったら即やっちゃうとか・・・。」
「クククッ・・・・・。」
ほんと、見ていてあきない。
今まで話したことなんてなかった。
ちょっとうるさくて、しつこくて、俺の苦手なタイプだと思っていた。
それが、ついこの間隣の席になっただけでこんなにも変わるとは・・・・・・。
ペテン師が聞いてあきれる。
「あ、あと、詐欺師!」
「その詐欺師に勝負するんか?」
「へっへーん!今日は絶対勝てるからそんな余裕こいてられるもの今のうちだよ!」
おお、今日は随分と自身たっぷりなようで・・・。
もしかしたら・・・なんて思ってしまうが、能天気なコイツのことじゃからたぶん俺には勝てない。
何をたくらんどるんじゃ、。
「私が勝ったら仁王は1日中私のいうこと聞いてね!」
「なんじゃ、キスして欲しいんか?しちゃるぜよ。」
「そんなこと頼みません!」
「つまらんのぅ・・・・じゃぁ俺が勝ったら俺の言うことも何でも聞くんじゃな?」
「・・・・・・うっ・・・・それは・・・・・。」
「ククッ、約束じゃよ?さぁーて、始めるかの。何するんじゃ?」
何で勝負なんてしよるんじゃと思っとったらコレか。
1日中ね・・・・らしい。
キスじゃったらいくらでもしてやるんに。
勿論、その先も。
まぁこれで俺の楽しみも増えたわけで。
全力でいかせてもらうぜよ?
「仁王雅治くんとはあっちむいてホイ対決です!」
「ほぅ・・・・・。勝てるんか?」
「だーかーら!!!まかせときんしゃい!!!」
「ククッ・・・何でもええきに。かかってこい。」
「言ったな!泣いてもしらないぞ!!!」
「ほいほい。」
「1回勝負だかんね!」
「ほいほい。」
「よっし!じゃんけんぽい!!」
「なぁー、ー、それとって。」
「・・・はいはい。」
「ん。あと、それも。」
「はいはい(怒)」
あっさりと俺の勝ち。
じゃけど、があんまり言うこと聞いてくれん・・・・。
さっきもキスしてち言うたら思いっきり殴られた(なんでじゃ)
「くそっ、こ、こんなはずでは・・・・・。」
「から言い出したんじゃよ?しゃんと言うこと聞きんしゃい。」
「はいはい!聞けばいいんでしょ!!!」
さっきっからブツブツ文句ばっかじゃの・・・・。
これじゃ何のために本気でやったんか分からん。
「そんなに勝ちたかったんか?」
「だって、いっつも仁王に騙されてるんだもん。
折角ずっと観察してくせみつけたと思ったのに・・・。」
「観察?」
「ずっと見てたつもりだったんだけど・・・ま、まさかこうなることを予測して既に騙していたのか?!」
「そんな見ててくれたんか。照れるの。」
「そ、そうじゃなくて!!!」
最近授業中にやたらからの視線がくると思っとったらこれか。
ずっと見てたなんて・・・・恥ずかしいのぅ。
俺もずっと見てたつもりだったんじゃけど。
「俺も同じくらいのこと見とった。」
「えええ!!!ホ、ホントですか!!!くそっ、そんな裏があったなんて・・・。」
「おい、、勘違いしとるし。」
「くそーっ!!!こ、今度こそは絶対に・・・!」
「、俺の言うこと聞きんしゃい。」
いつもより声を低くして喋る。
こうするとはきまって肩をビクッとさせて怖がる。
たぶん、俺がいっつも詐欺師って言われとるから。
・・・・あぁ、可愛ええ。
もっといじめたくなる。
「何で言うこと聞かないんじゃ。」
「え、ご、ごめん・・・。」
「からじゃったよな?言い出したんは。」
「は、はい・・・・。」
「優しーい雅治くんは付き合ってやったんじゃ。な?分かるよな?」
「ぅ・・・・ご、ごめんなさいって・・・・・・・。」
「聞こえん。お仕置きじゃな。」
「なっ!!!お、お仕置き?!」
「まずは・・・・・・・ここにキス。」
指差したのは俺の唇。
さっきもお願いしたことだが断られたけぇ。
そしたら無理にでもキスしたくなるっちゅうもんじゃ。
予想通り、の顔は物凄い顔になっている。ククッ・・・。
でも、全部が悪いんじゃよ?
ずっと見てたのに気づかなかった罰じゃ。
「俺の言うこと聞けんの?」
「えええっ!こ、ここ教室ですけど!!!」
「教室じゃなかったらええんか?」
「そそそそういう問題じゃなくてですね、仁王さん!」
思いっきり動揺しとる・・・・・。
キスぐらいどってことないと思うんだけどな・・・。
「じゃぁ放課後、待っとって。」
「ええ!」
「誰じゃったかな〜、俺に勝負しようち言うたんは。」
「待ってます!待ってます!むしろ待たせください!」
「ん、ええ子。テニスコートで待ってて。」
頭をくしゃくしゃすると不満げな顔しながら俺を睨んでくる。
どんな理由であれがずっと俺のことを見ててくれたのを知ったときは正直、嬉しかった。
ずっと気づかなかったが悪い。
俺を本気にさせたが悪い。
俺は悪くなかよ?
「よぅ、待たせたか。」
「(げ、来た・・・)う、うううん!おおお疲れ様!!!」
が待ってくれていると思うと自然に着替えるのも早くなるわけで。
周りのヤツは少し驚いてたが気にしない。
小走りにが待つテニスコートに向かう。
まるで恋人同士のような会話。
彼氏の部活をけなげに待ってた彼女。
ベタじゃけど、俺、こういうの好き。
若干、が挙動不審なのは引っかかるが・・・(何をそんなに怖がっとるんじゃ)
さて、たーっぷりお仕置きしないといけないんじゃったな。
「じゃ、キス。」
「・・・・・・はい?」
「じゃから、キス。誰も見てない。」
「いや、だから、それは・・・・・・。」
「なに、約束破るんか?」
「ち、違う!だってちゃんと仁王のこと待ってたし・・・。」
「別に1つなんて言っとらん。」
「なっ!」
「今日1日俺の言うこと聞くのが約束じゃろ?破るん?」
をコートのフェンスに押し付ける。
また肩をこわばらせて怯えた目で俺を見上げる。
あー、だから、それがダメなんじゃって。
そんなに俺を誘って何が楽しい?
俺に余裕がないの、知っとるんか?
「に、仁王・・・・・・。」
「・・・・・・。」
ここまでくればとことんいじめたくなる。
ずっと見つめていると急に目を逸らされた。
フッ、いい度胸じゃな。
「、こっち向け。」
「は、離してくれたら・・・・・。」
「じゃーから、は1日俺の言うこと聞くんよな?」
「ぅ・・・・・・・・・。」
「ほれ、何もせんからこっち向いて。」
今度は甘くねだるように言うと戸惑いながらも目線を合わせてくれた。
それを狙っていたかのように俺はの唇に吸い付く。
からしないんじゃったら俺からするまで。
「っ・・・・んっ・・・・・・。」
「っは、・・・・・・。」
「やっ、あっ・・・。」
途切れ途切れに聞こえる互いの吐息。
唇を離すと苦しそうに息をしている。
俺もそろそろ限界に近いらしく、思わず声が漏れる。
「・・・・・・何もしないって言った。」
「あ?覚えとらん。」
「数秒前のことですけどっ!!!」
「・・・・・しょうがないの、優しい雅治くんは次が最後のお願いにしちゃる。」
「(た、助かった!)あわわわわ、仁王さん、いや、仁王様、ありがとうございます!!!」
「俺と付き合って。」
長い沈黙。
俺は一瞬も目を逸らさない。
はと言うと状況がつかめないらしく、唖然としている。
「・・・・・・・もしかして、仁王って・・・私のこと好きなの?」
「なーにを今更言っとるんじゃ。ずっと見てたち言うたじゃろ。」
「・・・・・ズルイ。」
「俺、ペテン師じゃし?」
実は両思いだったとか?
これでめでたくゲーム終了・・・・・・?
あ、お仕置きまだじゃった。
「ええ!や、つ、付き合うっていうのが最後じゃ・・・・・。」
「それはお仕置きじゃなかよ。じゃって嬉しいくせに。」
「なっ・・・・・、バカ仁王!!!」
「おー、言うの?そんなにお仕置きされたいんか。」
「ち、ちがーーーーう!!!!!!」
ククッ、たっぷり教えこんじゃる。
夜が楽しみじゃ。
「あー、仁王先輩、絶対見せびらかしたかっただけッスよ!!!」
「そうとしか思えねぇだろぃ?わざわざテニスコートの真ん中で・・・。」
「た、たるんどる!!!」
「まったく・・・紳士にあるまじき行為ですね。」
「また新たなデータが増えたな。」
「フフ、あんなにラブラブされてたんじゃ通れないよね。ジャッカル。」
「おい、俺かよ!赤也、お前が先に行け。」
「なんでッスか!今行ったら絶対仁王先輩に自慢されるだけだし!」
END