11/9 木 ○○:△△



件名:(non title)

あはれてふ ことだになくは なにをかは 恋の乱れの つかねをにせむ












え・・・・・?


いきなりきたメール



こんな授業中に誰だ・・・と思い携帯を開くと知らないアドレス




しかも・・・・・・・何コレ?






何かの和歌かな・・・・






ちょうど資料で持っていた古今和歌集を開く



ええと・・・・うそ、あった・・・・・・










あはれてふ ことだになくは なにをかは 恋の乱れの つかねをにせむ
【訳】このため息だけでもなかったら、この乱れる心を一体何でまとめたらいいのか。


















思わず顔をあげ、あたりを見渡す



歴史の授業中だからかみんな机に伏せている



少数の生徒のみ真面目にノートを書いていた









一体誰なのよ・・・・




それにこの和歌・・・・・・









11/9 木 ○○:△△


件名:Re:

誰?








どうしたらいいのか分からず返信してみる



イタズラとかだったら地味に落ち込むんですけど・・・・







するとすぐに返信がきた












11/9 木 ○○:△△



件名:Re:

誰だと思いますか?












分からないから聞いてるんじゃないか



ムッとしながら再度教室内を見渡す
























「(えっ・・・・・・・)」
























1人と目が合った



だけど、目線があっても変わらない表情






鋭く、突き刺さるような視線







「(でも、まさか・・・・・ありえない・・・・・・)」















男子テニス部部長



いっつも敬語でどこか近寄りがたい





他の学校からは「殺し屋」なんて呼ばれてるらしい・・・・














そう、目が合った相手は「木手永四郎」







話したことは数回



それも事務的なことばかり





仲良い会話なんてした記憶ないんですけど・・・・










そんな彼が私にこんな恋歌を送ってくると思いますか?



それとも本当にイタズラ・・・・・



何かの罰ゲームとか・・・・・・









11/9 木 ○○:△△



件名:Re:

返事はまだなのですか?









手が震える



イタズラだと思いながら心のどこかで期待してしまっている自分がいる







10/9 木 ○○:△△



件名:Re:

イタズラ?









思い切って聞いてみた


そうだと返されたらたぶん立ち直れない・・・



それでもきっぱりそうだと言ってくれた方が恥をかかなくてすむ









11/9 木 ○○:△△



件名:Re:

イタズラであって欲しいんですか?











また目が合う




その目はさっきとは何か違っていて



そらせられない






すると木手くんの口元が動く








・・・・・・え?




何か喋ったのかもしれない



でも思考が停止していて理解できない
























す、・・・・・・き・・・・・・・で・・・・・・・・・・す・・・・・・・・
























同時に授業終了のチャイムが鳴った































「ちょっと来ていただきますよ」































まだみんな机で寝ているため気付いているのは真面目な数人だけ



それだけが救いだった





あの木手くんから声をかけられた








ダメだよ、期待しちゃうから





ありえないのに・・・・・・・












「何してるんですか。置いていきますよ」








ガタッと席を立つ






終わったばかりでまだ人が少ない廊下を歩いていく




とても隣なんて歩けなくて












背中を見ながら付いて行った































「あはれてふ ことだになくは なにをかは 恋の乱れの つかねをにせむ」









わ・・・・・・本当に木手くんだったんだ・・・・







「ど、どうして・・・・・・」



「しょうがないでしょう。好きになることに理由なんてあるんですか?」













前を歩く木手くんは




そう言いながら小さく笑った












私はこれから起こることに期待せずにはいられなくて





それでも冷静でいようと何とか自分の鼓動を抑えるのに必死だった













































「好きです」













































抱きしめられながらそう言われるのはあと数分後の出来事