こいつを愛らしいと感じ始めたのはいつだろう。
髪を弄る大きな手
最近は何故かつまらない。
テニス以外は面白みがまるでナイ。
昔は暇つぶしにと思って女で遊んでいたが(オイ)最近ではそれもあきた。
そんな時だった。アイツと出会ったのは。
いや、正確に言うと初めてではなかった。
同じ学年で同じクラス。
そんな条件つきだったがアイツの存在が分からなかった。
オレはテニス部で人気があるうえに美形。
周りの女共で霞んじまってたらしい。
あいつもまた、オレなど相手にもしていなかったのだろう。
今の今まで話したことは一度も無かった。
それがひょんなことで互いを知ることになる。
「席・・・替えか?」
黒板には座席表が。
オレの席は窓側。
チッ、特に窓際はかったるい。
眠気をさそう。
いつもの通り授業は進み、放課後になった。
ああ、やっと部活だ。
退屈な時間から解放される。
だが、こんな生活がこれからも続くとなると気が重い。
* * *
部活も終わり、帰ろうとしたが忘れ物をしていることに気付いた。
急いで教室に取りに行った。
ガララッ。
ドアを開けた瞬間、何か違う香りがした。
いつもと違う・・・。心地よい・・・。
あそこにいるのは・・・。
「?」
オレの隣の席の奴。
女の中でも少ないオレに『興味のナイ』女だ。
「ア〜ン?寝てんのか?」
ったく気持ち良さそうだな・・・。
「オイ、。」
「・・・・・・。」
「学校閉まんぞ。」
「・・・うぅ・・・。」
一向に起きる気配ナシ。
ああ、こいつの匂いか。
確かにな・・・。いい匂いしてやがる。
自分の席に座ってよく顔を見てみた。
気持ち良さそうなのがすぐ分かる。
香水か?
っていうか何でドキドキしてるんだ?
最近では感じなかった心情。
「・・・。」
軽く髪をなでてみた。
フワッと甘い香り。
「ったく・・・。」
送ってやるか。
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